『こんとあき』を10倍楽しむ!

林明子さんの名作といえば「こんとあき」。
もう何度読んだかしれません。我が子に手作りの「こん」を持たせて、鳥取砂丘に行ったこともあります。懐かしい〜。
 
作品の奥深さを知る度に、どんどん魅力に吸い込まれていった、
「こんとあき」を10倍楽しむ、隠されたエピソードをご紹介いたします!
本をお持ちの方はお手元にご用意ください。
 
では、はじめます!
まずは表紙をじっくりと見てみてください。
 
あきの後ろに優しそうな老夫婦が描かれていますね。
林明子さんのご両親がモデルになっているのだそうです。
林さんは小学生の時に読んだジョルジュ・サンド作『愛の妖精』に感銘を受けたそうですが、こんなご両親があってこそのジョルジュ・サンドかなと思いました。なかなか小学生でジョルジュ・サンドは手に取らないように思います。さすが、日本を代表する絵本作家さんの子供時代に読んだ本は違いますね。私も小学生の時に『愛の妖精』に出会いたかったです。
 
次は目線を向かいのホームへ向けてみてください。
見覚えのある人が何人かいますよ。
 
⭐️黒いシルクハットの男性、チャップリンです。
別の作品「いってらっしゃーい いってきまーす」の6ページのチャプリンの看板が目印の理髪店「チャーリー」との関連が気になるところです。
 
⭐️『不思議の国のアリス』のアリス
チャップリンに何かを尋ねているように見えます。
 
⭐️『タンタンの冒険』のタンタン
白いシャツ、茶色のズボンに両手を突っ込んでいますね。傍には、相棒の白い犬スノーウィーの姿もあります。「こん」と同じくスノーウィーも擬人化されているようにみえます。
 
⭐️『はじめてのキャンプ』のなほちゃん
黄色いサロペットを身に付け、ちょこんと立っています。
 
ひょっとするとアリスの隣にいる黄色い服の女性は『はじめてのおつかい』に登場するぱんを買いにきたおばさんかもしれません。他人の空似でしょうか?このおばさんは『あさえとちいさいいもうと』の16ページにも描かれています。3冊お持ちの方はぜひ、見比べてみてくださいね。
 
次は9ページをご覧ください。
⭐️腕組みをしてうたた寝をしているのは『さむがりやのサンタ』のサンタさんです。サンタさんもさきゅうえきで下車しました。どこに向かうのでしょうね。
 
12ページにはイギリス人の有名な方々が描かれていますよ!
⭐️白髪頭のサンタさんの後ろには、なんと、『ピーターラビットのおはなし』に出てくるマクレガーさんが座っていて、ピーターに出くわした時の表情でこちらを見ています!マクレガーさん向かいには
不思議の国のアリス』の帽子屋が座っています。その他にもアリスに出てくる登場人物が乗車しているにで探してみてくださいね。
 
こんがならんでいるのは駅弁「あげどんべんとう」を求める行列です。あげどんべんとうのレシピはこちらで紹介されています。
私も食べてみたいです。
 
 
こんとあきが「さきゅううまち」に行くのに乗った
電車の名前を知っていますか?
 
それは、
 
特急とびうおです。
 
とびうおは日本海でよく取れる魚で、島根県の県の魚だそうです。
島根方面から鳥取に向かっている設定なのでしょうね。
 
最後に、こんのとっておきの秘密をご紹介します。
こんはあきのおばあちゃんが作ったぬいぐるみですが、素材はなんと、亡くなったおじいちゃんのコートなのだそうです。以前、林さんが雑誌のインタビューで語られていました。
それを知ってからというもの、私はこんを見る度に涙腺が緩んでしまって、この作品が無性に愛おしく思えるのです。祖父母の深い愛を感じます。
 
細部までこだわって絵本を読み解くと作品がより一層面白くなりますね!